【事例紹介】岩手県花巻市高松第三行政区

事例紹介

高松第三行政区の概要

岩手県花巻市の東南部に位置する中山間地域
1968年(昭和43)に開田
水田面積100ha(1枚のほ場が7aと小さい)
世帯数66世帯、高齢化率46%
一人暮らし高齢者と高齢者のみの世帯が40%
公共交通機関なし、一番近い店まで4㎞

2007年(平成19)頃、集落の公民館での会話

「人口減少と高齢化が進んでいる。このままでは限界集落になるのではないか」
「不便だからと他に家を建て出ていく人たちが増えている」
このまま黙って見ていていいのか? なにか対策はないのか?
現状に危機感を持った6人の有志が何度も話し合い
地域づくりの任意組織を立ち上げようと設立総会を開催
→ところが、参加者は全員反対
「失敗するからやめろ」「失敗したときの責任はだれがとる」
「そもそも地域住民の合意は得ているのか」
6人の発起人が「責任をとるから」と言って説得

2008年(平成20)協議会設立

なんでもやってみよう!

郷土芸能の伝承、景観形成、耕作放棄地対策、出身者アンケート、研修会・・・
しかし、しょせんは素人
2年目には活動に行き詰まり、アドバイザーに相談
・「自分たちのあるべき姿(ビジョン)」づくり
・「住民主体、行政参加」の仕組みづくり
・活動に暮らしという「横ぐしを刺す」
2011年(平成23)アドバイザーから紹介された岩手県立大学社会福祉学部の宮城教授の指導により「農業」・「福祉」・「交流」をテーマにした『ふるさと交流福祉計画』を策定

農福連携による地域づくりが具体的に動き出す

耕作放棄地対策で始めた貸農園で予想外の出来事が

17区画の利用者の約半分が地元住民みんな、家に畑があるのに・・・
・「ひとり寂しく畑で仕事をしていても楽しくないここに来ると人がいて会話ができる」
・地区外の人から「先生、教えて」と聞かれて、びっくり!

活動の中で地域の課題が明確になってきた

連携9団体(花巻市・社会福祉協議会・大学・施設・JA等)との「協働」
①農地の保全
地元の農業生産法人と連携した耕作放棄地対策(福祉農園へ)
②地域資源の活用
協議会が中心となり里山資源の活用(6次産業化)
③生活支援
協議会と花巻市、社会福祉協議会や地域包括支援センター等との連携

地域資源の活用

・里山に自生している『ガマズミ、ナツハゼ』を遊休農地に植栽
 ➡️木の実をゼリーに加工・販売
・作業の中心は60~80歳代の高齢者
・障がい者やこども園の園児も作業に参加
 ➡️交流・生きがい・お小遣い・・・様々な効果が生まれ
・交流人口0人→1,800人へ
 ➡️にぎわい・笑顔・交流の輪が広がる

生活支援の取り組み

個人の困ったは、やがて地域の困ったになる
個人の段階で対策をとらないと、地域の困ったになった時には手遅れになる
■2015年(平成27)
「母を病院に連れていきたくても仕事が休めない」とSOSが協議会へ
■2016年(平成28)~2017年(平成29)
農水省の交付金を活用して、外出支援の社会実験実施
■2018年(平成30)~
花巻市介護予防・日常生活支援総合事業により継続
■2020年(令和2)~
中山間地域等直接支払制度第5期対策・集落機能強化加算により
①外出支援の対象者拡大
②配食サービス(見守り活動を含む)拡充
③除雪支援開始

移住者のチカラ・地域のチカラ

協議会の活動を始めてから、10世帯が移住・2世帯がUターン・地区の貴重な人材として活躍中
・消防団員13人中7人が移住者
・集落公民館役員5人中3人が移住者
・狩猟免許を取得し鳥獣被害対策指導員
・神楽の後継者・・・

2021年(令和3)から始まった70㏊の農地整備事業に期待

ほ場条件の改善(1区画が7aから30~50aへ、パイプライン、暗渠排水等)により
・担い手の確保や草刈り作業の機械化へ
・高収益作物の取り組みが加速化
 ➡ 全住民参加による新たなコミュニティの形成(地域共生社会へ)

これからも「みんなが主役」

今まで「地域のありたい姿(ビジョン)」をみんなで考え、同時に目の前の困った問題をみんなで解決してきた

農業のチカラ + 福祉のチカラ = 地域のチカラ

【動画】高松地区が取り組む移動支援

【動画】移住者と共に